歌集
「中東短歌」という同人誌のなかの短歌のいくつかが、数年前にツイッターでよく流れてました。そのときに千種さんの名前を覚えたのです。 「中東短歌」をはじめ、これまでの作品をおさめた「砂丘律」、装丁のこだわりも話題になっていますね。 ペーパーバッ…
今回は真中さんの「火光」を取り上げてみましょう。何度読んでもなかなか難解で、手ごわい歌集です。 全体的に読者からの安易な理解とか共感といったものを最初から拒否しているような雰囲気を持っています。
今回は中津昌子さんの「むかれなかった林檎のために」を取り上げてみます。この歌集、装丁がすごくきれいなんです。紺色の表紙に金色のプレートみたいなタイトルがついています。品があって好きですね。 ■植物に託した歌 つよい国でなくてもいいと思うのだ …
今回は大口玲子さんの「大口玲子集」を取り上げてみましょう。第一歌集「海量」の作品がメインで、すごく読み応えがありました。 ■日本語、言葉を詠んだ歌 名を呼ばれ「はい」と答ふる学生のそれぞれの母語の梢が匂ふ 日本語が日本を支ふる幻想のきりぎしに…
今回は楠 誓英さんの「青昏抄」を取り上げてみましょう。前から買いたかったのですが、やっと入手・・・。 ■自己の内面を見つめる歌 言ひかけてやめたる吾と合歓の葉が閉ぢて下がれり夕闇の中 面接を終へて戻れる夜の道に脳の形に鶏頭ひらく 狂ふとは狂ふお…
ゆっくり読んでいたら、次の歌集「午後の蝶」がでていますがな・・・。「金の雨」はもともとは30首連作として編まれた作品がベースになっているのでひとまとまりの世界に浸りながら読むことができました。 植物を詠んだ歌 日蔭なる草にとまれば植物のしづけ…
ちょっとおまけで記事を追加です。歌集のタイトルになっている「エフライムの岸」は旧約聖書に出てくる『士師記』のなかのシーンにちなんでいるそうです。 シイボレト(つぎ)シイボレト(言つてみよ)シイボレト(ゆけ)シボレト(ゐたぞ) 真中朋久『訛音…
今回は真中さんの第4歌集です。カバーのざらりとした質感が印象的。 ■死と死に至るまでの歌 生者死者いづれとも遠くへだたりてひとりの酒に動悸してをり 冬のグラスに色うつくしき酒をそそぎふるき死者あたらしき死者をとぶらふ 死の間際に受け入れる罪サン…
自分ではとても描けない幻想的な世界に惹かれることってありますね。今回は佐藤弓生さんの「モーヴ色のあめふる」を取り上げます。 ■なにかと接する面をとらえた歌 天は傘のやさしさにして傘の内いずこもモーヴ色のあめふる人は血で 本はインクで汚したらわ…
今回は真中朋久氏の第三歌集『重力』を取り上げてみます。やや重めな内容の歌も多いのですが、読み応えのある歌集だな、という印象です。
今回は真中朋久氏の第二歌集「エウラキロン」を取り上げてみます。
最近、真中さんの歌集をずっと読んでいました。今回は第一歌集『雨裂』を取り上げてみます。 真中さんは気象予報士として働いていたそうで、短歌のなかに気象用語や天候にまつわる発想がでてくるのが面白く、また印象深いものが多かったです。 実際の仕事の…
今回はひぐらしひなつさんの「きりんのうた。」を取り上げます。2003年に出版された歌集ですが、私が手に入れたのは数年前です。当時、繰り返し読んでいた1冊です。 いいかけで終わる歌 骨と骨つないでたどるゆるやかにともにこわれてゆく約束をコントラバス…
今回は江戸雪さんの初期の作品をおさめた「江戸雪集」をとりあげます。 いつのまに信じられなくなったのかフロントガラスにとけるだけ 雪スカーフに風からませてどこへでも行けると思う今ならば でもひきだしの死角のようにいるひとを思い出せなくなるまで、…
今回は松村正直氏の第二歌集「やさしい鮫」を取り上げてみます。
全体を通して読んでまず思うのが、内にもっている時間の軸の長さが通常のひととは違う、ということです。 京都という歴史のつみ重なった土地での暮らしと豊富な教養が、林和清氏の短歌の世界の土台になっています。自分が生きている現世という時間だけでなく…
邑書林から出ているセレクション歌人というシリーズ、かなり前から愛読しています。今回はそのなかから「横山未来子集」を取り上げてみます。 とりどりの紅葉捉へて凍りたる湖のごとくに生き来しひとか霜月におもふ真夏の陽のごとくはるかなり眼をほそむる癖…