波と手紙

小田桐夕のブログ。好きな短歌について。

2024-01-01から1ヶ月間の記事一覧

一首評「影」

影を持つもののみがさびしさの影を曳く 蠟梅のめぐりにひかりは沈む 永田和宏「お母さん似」『午後の庭』P148 蠟梅はちょうど今頃咲いている、きれいな黄色の花。寒い季節なので、明るい色や美しい形、そして香りでとても存在感があります。 「影を持つもの…

一首評「光」

ひかりにはあるべき光と添ふ光おのづからにして簡明ならず 「あるべき光と添ふ光」『置行堀』永田和宏 P135 ひとつ前に置かれているのが 夕光にでこぼこ見えて水の面を風渡るなり ひと日とひと世 *夕光=ゆふかげ 面=も 水面にキラキラと反射している光や…