波と手紙

小田桐夕のブログ。好きな短歌について。

一首評「光」

ひかりにはあるべき光と添ふ光おのづからにして簡明ならず

「あるべき光と添ふ光」『置行堀』永田和宏 P135

ひとつ前に置かれているのが

夕光にでこぼこ見えて水の面を風渡るなり ひと日とひと世

*夕光=ゆふかげ 面=も

水面にキラキラと反射している光や表面を撫でていく風を詠んでいます。

一字あけて結句の「ひと日とひと世」のなかの、一日と一生の時間の対比が印象的。

 

光にも種類があって、そこにあるべくして存在している光と、添う光があるという。

光の差は、おのずから発生しているけど、「簡明ならず」なので、実は簡単、単純ではない。

 

同じように見える光でありながら、よくよく見れば確かな差がある。

じっと見ることによって、気づく力が身につくのかもしれません。

僅かな差を捉えるのは、見る側の力量に依るものでしょう。

 

   *

新年早々、災害などでなかなか大変な年になりそうです。

 

私も自分にできること、できないこと、やるべきこととそうでないこと。

気持ちを込めて今年を過ごしていきます。

皆さんにも有意義な一年になりますように。