波と手紙

小田桐夕のブログ。好きな短歌について。

2023年をふりかえる

2023年を振り返ってみます。今年はいろいろと収穫のある1年でした。

 

歌会への参加について

コロナ禍がようやく落ち着いてきたようで、各地でイベント等が復活してきました。私も久しぶりに歌会に定期的に参加するようになりました。

 

コロナが流行して以来、塔の歌会には行かなくなってしまい、たまにオンラインのZoom歌会に参加しているだけになっていました。感染リスクを避けるため、という理由が大きいのですが、なんとなく気持ちが塞いでしまって、外出する気持ちが減退していたのも大きいです。

 

歌会の場は年齢や経歴もバラバラで、共通の知識や土台が無い場合もあります。自分ではちゃんと詠めたかな、と思って提出しても他人には伝わらない作品ももちろんあって、それはそれで必要な経験なのでしょう。

 

私は参加しなかったけど、塔の全国大会が無事に開催されたようで、大型イベントが復活してきたことで、かつての雰囲気や賑やかさが戻ってきたようです。まずは一安心。

歌集歌書探訪(「塔」誌上での書評)について

「塔」誌上では2年間、歌集歌書探訪というコーナーで4回、書評を担当していました。以下にリンクをはっておきます。

 

担当する回数は多くないけど、毎回、真剣に書いてきました。著者の方がお礼を言ってくださる機会があるなど、恐縮すると同時に、大変嬉しかったです。

 

odagiri-yu.hatenablog.jp

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書評を担当するにあたって心がけたことはだいたい次の通り。気持ちがこもっていない書評は書くまい、と決めていました。

  • 引用歌は少なめ、できるだけ紹介した歌の鑑賞を書く
  • 取り上げる歌集だけでなく、同じ著者の過去数年の歌集にも目を通す(比較して論じることができたらなお良し)
  • 他人に紹介したい点と、自分が興味を持った点を盛り込む
  • 「私は泣いてしまいました」「涙が止まりません」等、感動を強調しない(私の感動を押し出すのではなくて、書籍の魅力を掘り下げる)
  • 「大勢の方に読んで欲しい」「読む価値がある」も書かない(読む価値があると思っているから取り上げているのであって、いちいち書かない)

1冊の書籍と向き合い、もし当該書籍を未読の友人に勧めるならばどの点を伝えたいか、ということを自分に問う機会でした。

 

出来た部分もあれば、不十分な点もありますが、私にとっての良い書評を考える機会になりました。貴重な機会をありがとうございました。

塔の詠草について

「塔」の詠草は、欠かさずに送ってはいます。作品1の欄は上手いひとが多いので、あんまり秀歌が掲載される箇所(いわゆる「鍵の外」)に載りにくくなったな、とは思いますが。あまり気にしすぎるのも良くないし。

 

今年の詠草から、本歌取り(もどき)を、10首中1首は混ぜて提出するようにしてみました。掲載されないかな、と思っていたら、意外と選を通って掲載されていますな…。

 

選者の方が本歌取りだと思って選んでいるかというと、あんまり思われていない気がしますけど。所詮もどきですから。

 

本歌取りの良いと思う点は、有名な歌人の代表的な歌を、前より積極的に読むようになったことですね。本歌を選ぶときには小高賢編著『現代短歌の鑑賞101』『現代の歌人140』等を参考にしています。

 

「この歌のこのフレーズ、面白いな…なにか他の歌に使えないかしら」的な感覚で読んでいくので、ただ読んでいるだけよりも頭に残りやすいかもしれません。断言はしませんが…。

 

そんな感じで、毎月の詠草で、毎回なんかしらチャレンジできるといいかな、と思います。

 

2023年は塔短歌会賞で、久しぶりに候補作として連作「白く飛ぶ」を掲載して頂けたことも、嬉しかったことのひとつ。けっこう悩みつつ作った作品なので、2023年4月号の「塔」誌上で見て、なんだかホッとしました。

オンライン読書会について

オンライン読書会(みかづきも読書会)は継続しています。もともとはコロナ禍のせいで遠方の友人たちと会えないので始めた読書会でした。

 

いつまで続くかは分かりませんが、もうしばらくは続けるつもりです。オンラインなら遠方の方とも簡単に会話できるので、この便利さはなかなか手放せないです。

 

2023年に開催した読書会の内容は以下の通り。

  1. 杉﨑恒夫『パン屋のパンセ』
  2. 平井弘『遣らず』*連作「遣らず」「あんじゆうる」を取り上げる
  3. 中島裕介『memorabilia/drift』
  4. 有川知津子『ボトルシップ』
  5. 大森静佳『ヘクタール』

ご協力ありがとうございました!

 

みかづきもノート」は3号でひとまず終了としました。主催者側にとって「みかづきもノート」は、作り続ける負担が大変なので。

 

私が不慣れで大変な作業をなんとか実行できたのは、読書会にご協力くださった著者の方と、その作品への尊敬によるものでした。理由はそれだけです。他に理由なんかありませんよ。なんか勘違いしている人、見たことあるけど。

 

作っている途中ではいろいろとストレスを感じたし、苦労した点も多いけど、読書会の内容を形にできたこと自体は良かったと思います。

 

2か月に1回くらいのペースで、友人たちと書籍を読む楽しさは、とてもいい刺激になります。一首の、また一冊の鑑賞を通して他人の視点や感覚を聞いて、また考える。

 

他人の意見に納得いかない部分もあるけど、そこから自分のものの考えがまた見えてくるかもしれません。

その他、旅行とか

旅行に行けるようになったのも、今年の嬉しい変化でした。なかなか行きにくい状況が続いたので。

 

9月には新潟県宮柊二記念館に行ってきました。遠かった…。でも記念館の周辺にある、宮柊二の生家や魚野川をこの眼で見ることができて、貴重な機会でした。

 

10月には大阪で『ゆふさり』歌集批評会にも参加しました。歌集の批評会も再開しだしたみたいで、これから開催される批評会なども楽しみです。

 

今年はもろもろやることが多くて、自分の作業の遅さに凹みそうになりかけました。周りに励ましてくれる方や協力してくれる方がいてくれたから、なんとか1年頑張れました。ありがとうございました。

 

どうぞよいお年をお迎えください。