波と手紙

小田桐夕のブログ。好きな短歌について。

2022年をふりかえる

さて、いよいよ2022年も終わりです。この一年を振り返る記事をアップしておきましょう。こういうのは、自分のための記事ですね。

 

 

 

この1年で結社や短歌にからんで印象深かったことというと・・・。

  • 数か月に一回の割合でオンライン読書会を開催した
  • その内容をまとめた「みかづきもノート」を作成した
  • 今年の春から塔の作品1欄に上がった!
  • 「歌集・歌書探訪」を担当中(今年は2回担当)
  • 9月に塔のシンポジウムに参加した

みかづきも読書会について

2020年の秋ごろから数か月に一回のペースで、オンライン読書会を開催してきました。今後もできるかぎりは続ける予定です。

 

今年取り上げたのは

  • 沼尻つた子『ウォータープルーフ
  • 真中朋久『雨裂』
  • 真中朋久『エウラキロン』  *以上二冊は現代短歌文庫に収録
  • 小島なお「両手をあげて、夏へ」 *「短歌研究」2021年8月号に掲載

あとは年末にはオンライン歌会を行うなどもしていました。ゆっくりとしたペースですが、毎回かなり面白い内容になっていると思います。

 

運営には苦労もありますが、やはり開催してみて良かったと思います。

 

運営にご協力くださる方たち、今年もありがとうございました。

みかづきもノートについて

で、読書会の内容を文字起こしして、さらに修正を加えてから小さな同人誌にしてみました。みかづきもノート」といって、すでにvol.1とvol.2が発売されています。

 

BOOTHで購入できるので、ご興味ある方はどうぞ!vol.1は残部少なめです。1冊500円。

 

booth.pm

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現在、真中朋久歌集『雨裂』『エウラキロン』に関する読書会を収録したvol.3を作成中です。来年初めには完成できるかな・・・と思います。

読書会をはじめた理由と運営していく難しさやコツ

オンライン読書会を始めた理由の一つは、今まで行ってきた歌会や読書会への不満がいくつかあったから。

 

マナーの悪い参加者がいても司会も含めて誰も注意しないとか、作品の批判を通り越して作者に対して悪口言っているだけとか・・・。

 

そのあたりに不満が募ったので、自分で試しに小さい集まりを作ってみたのです。

 

 「何を目指して読書会を始めたんですか?」と聞かれたこともありますが、何かを目指した、というよりも今までに感じた不満を解消して作品としっかり向き合う場が欲しかった、という感じですね。ときとして、不満は次への原動力。

 

読書会をやっていて、最も意味があると思うのは、一人で読んでいるよりも理解が深まる、視野が開ける感覚があるという点ですね。

 

ある一首を、複数の人で解釈していることで、「もしかしたらこういう歌なのでは?」と新たな解釈が自分の中から出てくることがあります。自分とは違う他人の解釈を聞いて、びっくりすることもあります。

 

一人で読んでいるだけよりも、ずっと新鮮な読みの可能性を実感できる点が有意義なんだろうと思います。

 

10人程度の小さな読書会でも、運営を続けるのは必ずしも楽ではない面もありますよ。開催連絡への反応が少ないと不安になるとか、スケジュールの関係で参加者が少なくて残念、とか

 

グループなどを運営するにあたって、小さい不満やストレスはつきものかもしれません。

 

私は必ずしも大勢の人に参加してほしいと思っているタイプではないので、読書会の参加メンバーはだいぶ限定しています。

 

いまのところ、歌の読みを深められる良い場所になっているので、ゆっくりでいいから続けていきたいとは思っています。

 

毎回の中身をしっかりしたものにして、できたら次回も参加してみたい、と参加者さんに思ってもらえるようにはしたいのですが。(いつもうまくいくとは限らないです)

 

コロナ禍以降、歌会などの参加者が減った・・・という嘆きの声も時々聞きますが「人数足りんから来てー!」「来てくださいよ〜」と言っているだけでは、継続して参加してもらうのはちょっと厳しいかもしれません。

 

まして「なんで来ないのよ?」みたいに、参加しなくなった人を責めるのはやめておくほうがいいですよ。余計に嫌がられますから。

 

来て欲しいという気持ちはわかるのですが、やはりその会そのものの魅力をアピールしてほしいところです。

 

歌会に限らないけど、集まりがよくないなら、運営している側としては

  •  話しやすい雰囲気になっているか
  •  魅力的なグループを作っているか
  •  魅力をアピールして周囲に伝えているか

などの点を、改めて考えてみてもいいかもしれないですね。

 

誰かのやる気を引っ張りたいなら、「時間やお金を割いてでも、ここには参加する価値がある!」「ここに行けば楽しいし、成長できる!」って参加メンバーに思ってもらうことが肝心ではないかな。

 

でないと継続的なイベントやグループは、なかなか続かないかもしれない、と最近思いますね。

塔での作品掲載について

作品1

塔には、若葉集(入会1年生のみ)→作品2→作品1→月集、という昇欄のシステムがあります。

 

私が入会して7年以上経ち、先輩たちの推薦や編集部の決定を経て、作品1に上がらせて頂いたようです。ありがとうございました。

 

流石に作品1にはベテラン会員さんや上手な方が多いな・・・と思いつつ、最近の詠草を提出しています。

 

毎月の詠草10首は、トレーニングだと思っています。興味がある事物をじっくり描写した作品を入れたり、本歌取りや破調など実験作を混ぜてみたり、いろいろチャレンジしてみたいと思います。

「歌集・歌書探訪」

今年から2年間、「塔」誌上で「歌集・歌書探訪」という書評のコーナーを担当しています。2年といいつつ、6人によるリレー連載なので、一人当たりの出番は4回だけです。

 

私が今年取り上げた書籍は以下の2冊です。どうぞご覧ください。

 

odagiri-yu.hatenablog.jp

 

odagiri-yu.hatenablog.jp

 

いくつかの書籍を比較して、どの1冊を取り上げようか、あれこれ悩む段階も含めて楽しいです。

 

出番は多くないけど、だからこそしっかり読み込み、他の資料や書籍なども参考にしつつ、気持ちを込めて書評を書き上げたいと思います。

 

このコーナーを担当できて嬉しいです。来年に取り上げる書籍も、今からいろいろ探しております♪

9月の塔シンポジウムについて

コロナ禍のせいで延期になっていたシンポジウムがついに開催されました。私も2日間の日程のうち、初日1日だけですが、参加がかないました。

 

2年ぶりくらいに会う方が多くて、なんだか顔を見られるだけで新鮮でした。もしかしたら、もうなかなか会えないかも・・・と思っていたので、ちょっとホッとした感じがありました。

 

大きなイベントにはまだ参加しにくい部分もあるので、貴重な機会でした。「塔」12月号では年間回顧座談会が掲載されており、以下のような発言もあります。

 

手作り感と仰ったけど、結局そういうところも全部ひっくるめて「結社」だと思うんですよね。みんなでちょっとずつ力を出し合って作り上げる。久しぶりにそういう「現場を見たな感」をすごく感じました。
 塔2022年12月号 P36

リアルなイベントなど、現場で熱気やエネルギーを実感するのは、大事な経験なんでしょうね。

 

2022年に悩んだこと、苦しんだこと、学んだこと、感じたことを自分のなかに仕舞いながら、次の年に向かいます。今年もありがとうございました。

 

良いお年をお迎えください!