波と手紙

小田桐夕のブログ。好きな短歌について。

2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

一首評「草」

ひかりはかぜかぜはかがやき草のなかにうしなひしものそのままでよし 真中朋久「ひかり」『cineres』P164 真中作品では、ひらがなを多用した歌には大きく分けて2種類あるみたいで、こちらは柔らかい雰囲気のある歌。 ひらがなの柔らかさの効果もあり、ゆっく…

一首評「庭」

蕁麻のやうに両手をひろげればわたしの庭のとほい明るさ *蕁麻=いらくさ 濱松哲朗 「土のみづから」『翅ある人の音楽』P182 蕁麻には葉や茎に棘があって、触ると接触性の皮膚炎を起こすことがあるとのこと。 画像で検索してみたら、小さなシソの葉みたいな…

一首評「あぢさゐ」

ほそく降るあしたの雨へあぢさゐは青すみとほる窓を開けたり *開けたり=あけたり 河合育子「いのちの起源」『春の質量』P12 紫陽花のきれいな季節です。雨の日に出かけるときについ見てしまう。 紫陽花の開花の瞬間をとらえた歌。美しい青色の紫陽花です。…