波と手紙

小田桐夕のブログ。好きな短歌について。

2024-04-01から1ヶ月間の記事一覧

一首評「スプーン」

木のスプーン銀のスプーンぬぐひをへ四月の午後は裸足でねむる 睦月都『dance with the invisibles』「十七月の娘たち」P37 そろそろ4月が終わりですね。『dance with the invisibles』はとても読み応えがあり、美しい一冊でした。 「木のスプーン」は柔らか…

一首評「湖心」

旅人にあらざるこころ海ならずみづうみならむ湖心は匂ふ 水原紫苑『天国泥棒』P332 ふらんす堂の短歌日記は、一日に一首の短歌が掲載される日記形式のユニークな連載です。この歌は、2022年11月13日の日付に掲載されている短歌です。 旅人ではないこころは海…

一首評「心」

積雲の量感持てる一車輛都心の心を離れゆきたり *都心=としん 心=しん 小池純代『雅族』「勤めの歌」P50 積雲は、こんもりしたフォルムがかわいい、シュークリームみたいな雲です。そんなふっくらした雲みたいな量感の一車輌が、都心から発っていった。 …