波と手紙

小田桐夕のブログ。好きな短歌について。

2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

細川光洋『吉井勇の旅鞄』 【歌集・歌書探訪】

塔2022年11月号に掲載された「歌集・歌書探訪」の記事を以下にアップしておきます。今回取り上げたのは、細川光洋さんの『吉井勇の旅鞄』。 400頁に及ぶ本書を繰り返し読み、吉井勇の歌集のうち数冊を読み、自分の考えを書き出してまとめていく作業は、時間…

一首評「火」

虚実皮膜の皮のうちなるあぶらみをしたたらせつつ火を渡りゆく *皮膜=ひにく 真中朋久「火を渡る」 塔2022年10月号 P5 先月中にアップしたかったのですが…。遅くなりました。とても面白い歌だと思ったので、ちょっと書いておきます。 「虚実皮膜」は、事実…

一首評「泡」

死ぬほどというその死までそばにいて泡立草の泡のなかなる 小島なお「両手をあげて、夏へ」短歌研究2021年8月号 P32 先月、みかづきも読書会で取り上げた連作の中から。 泡立草、なかなか目立つ黄色で、路上で見ると強い色だな~と思います。泡立草は確かに…