波と手紙

小田桐夕のブログ。好きな短歌について。

2023-12-01から1ヶ月間の記事一覧

2023年をふりかえる

2023年を振り返ってみます。今年はいろいろと収穫のある1年でした。

一首評「犬」

日だまりを海としその身横たふる犬よ大陸のごとき呼吸よ 「ヴィオラと根菜」『翅ある人の音楽』濱松哲朗 P154 暖かな日だまりと犬の組み合わせは、なんとも長閑。ひとつ前に 上向きの蛇口に口をすすぎつつ冬の日向の公園にゐる 「ヴィオラと根菜」『翅ある人…

一首評「画布」

いづかたの岸にも着かずたゆたへる長き月日を画布に見てをり 「不在の在」『たましひの薄衣』菅原百合絵 P118 ひとつ前に「モネの描く池」を詠んだ歌があります。池には捨てられた小舟。 小舟はもうどこの岸にもつかない。 この歌の中で見ているのは、小舟や…