波と手紙

小田桐夕のブログ。好きな短歌について。

塔2021年9月号アンケート結果について

今さらなのですが、塔2021年9月号は、800号記念号でした。

 

そして、先月末には、塔のオンライン新年会として、座談会「塔800号記念特集を語る」を聞くことができました。

 

その内容を踏まえて、少しだけ私の考えを書いておきます。

 

2021年9月号には面白い企画が多かったのですが、なかでも興味深かったのは、歌集をどう読んでいるか?というアンケート結果。私も回答しました。

 

郵送だけでなく、ネット上でアンケートの回答ができて、便利でしたよ。集計など、お疲れ様でした。

 

また、2021年12月号では、アンケート結果を踏まえて、選者の山下泉さんと、編集部の澤村さん、魚谷さんが話し合うという関連した企画もありました。会員がかかえる悩みに向き合う、いい企画だったと思います。

 

アンケートには、「歌集を読む際の悩みは?」という問いがありました。

 

印象深い回答の一つに、「他の人が「すごくいい!」と言っていた歌集、なんらかの賞を受賞した歌集などに自分が上手く乗ることができないと非常に申し訳ないような気持ちになってしまう。」というものがありました。私もこの回答に近い内容を入力した記憶があります。

 

要するに他人がある短歌をいくら評価していても、自分には同じように良さを理解することができない、ってケースです。

 

受賞作など、評判のいい短歌をいまいち理解できないとき、私は「申し訳ない」とまでは思わないけど、納得できずイラつく時もありますね。

 

どんな作品をいいと思うか、なにを基準にして評価するかは、単なる個人の好みというだけでなく、その人の作品に対するものの考え、人生観や哲学、評価の軸などが出て、他人の価値観とぶつかることになるので、どうしても相容れないものを感じるケースはあるでしょう。

 

さらには、どんな作品がいいとされるかは、結社など組織内での作品・作者への評価に関わるので、やはり気になってしまうのですよ。

 

単なる食べ物の好みや嗜好の話とはまた次元が違うのではないかな?と思いました。

 

「分からないからって悩む必要ないよ、食べ物の好み程度の話でしょ。」と言われて納得できる人はそれでいいけど、そういう人は、そもそもアンケート調査に上記のような回答はしないですよね・・。

 

「良いとは思えないなら無理に褒める必要はないけど、どんな点が周囲から評価されているのか、しっかり分析してみてはどう?」という意見も聞いたことがあります。

 

必ずしも納得できないならできないままでもいいので、他人の評価基準を分析してみるのもいいかもしれません。

 

とはいえ、どんな作風の人であっても、作るときには「自分がいいと思う作品」を作っていくしかない、とは思います。

 

あ、そうそう。歌集にまつわる別の悩みとして「いきなりの献本はやめてほしい。」っていう回答もありましたが、あれ、私ではないですよ(笑)。