波と手紙

小田桐夕のブログ。好きな短歌について。

一首評「瓶」

その喉に青いビー玉ひと粒を隠して瓶はきっと少年

toron*「雨過天晴」『イマジナシオン』P47

夏っぽい歌を。ちょっと懐かしいラムネの瓶。ラムネは瓶の内側からビー玉で栓をしていることが特徴。

 

途中ですぼまったフォルムをしていて、コロンとビー玉が入っていました。小さい頃、あのビー玉が欲しかった・・・。

 

淡いグリーンのほっそりした瓶と、少年のイメージを結びつけている一首。

 

わかりやすい部分はあるのですが、それでも夏っぽさやレトロ感があって、惹かれます。

 

瓶の中のビー玉は割とはっきり見えていたので、動詞「隠す」が適切かな、という疑問はチラッと浮かんだのですが。

 

toron*さんの歌は比喩がとても鮮やかで、見たことのあるアイテムからもっと広いところにまで、イメージを広げてくれます。