研究者になるまいなどと思ひゐしかのあつき日々黒き向日葵
向日葵を詠んだ歌の中で、とても印象的な一首。既存のイメージを逆転させたような、画像の白黒を反転させたような強さがあるのです。
「黒き向日葵」はもしかしたら、すでに枯れて種びっしりになった状態なのかもしれませんし、そういう色味の品種なのかもしれません。
それでも、明るいイメージではないところが妙に気になったのです。
「研究者になるまいなどと思ひゐし」という意思も、とても強い。そういう進路もあり得たのかもしれないけど、自分の意思で除外したのでしょう。
夏の暑い日々、強い日差し、黒い向日葵。「なるまい」という断言。
複数の強烈さが一首の中に存在していて、かつてあった夏のひとつとして、時折思い出す歌です。