波と手紙

小田桐夕のブログ。好きな短歌について。

一首評「そらまめ」

そらまめに合唱のこゑ起こるべし塩ふればみな粒照り出でて

 小島ゆかり『さくら』「春のポット」P37

そらまめは、春を感じさせてくれる食材。キッチンで茹でてから塩を振ってみたのでしょう。丸みがあるそらまめには、てらてらとツヤがあり、いかにも美味しそう。

 

茹でたてのそらまめのホカホカした感じや温かさ、ひと粒ずつの照り等、キッチンでのシーンが目に浮かびます。

 

とりわけ「そらまめに合唱のこゑ起こるべし」で生命力のある緑色や、たっぷりの湯気をイメージします。

 

食べ物を美味しそうに詠む歌は、読者にとっても、楽しい歌。