2016-04-07 一首評 「林檎」 一首評 決断を林檎のやうに弄ぶ林檎の蜜のやうに尊ぶ 紀野 恵 『La Vacanza』 「決断」という強い気持ちを弄び、同時に尊ぶ、という行いの差にくらくらしてしまいます。 林檎という果実=つややかな外見や滑らかな手触り、林檎のなかの蜜=大切な秘められたもの、というイメージのあいだで思いを巡らせます。 一首のなかに、矛盾した屈折した情念を感じてこの「決断」はその後どうなったのかな、と気になってしまうのです。