2016-04-11 一首評 「鳥」 一首評 鳥よりも鳥の名前が好きだから滴るひかり喉に溜めをり 大口 玲子『大口玲子集』 中国で日本語を教える日々の歌が並ぶ中に、この一首は置かれている。 鳥そのものよりも「鳥の名前」が好き、というのはやはり言葉への関心の高さなのか、名前を知ることで自分の理解のなかに納めた気持ちになるせいなのか。 「喉」という音声を発するために必要な箇所に溜まっていくひかり。新しい名前を知るたびにひかりは増すけれど同時に何かを失っているかもしれないと思うときすこしひりひり、とした感じを受けるのです。