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波と手紙

小田桐 夕のブログ。塔短歌会に所属しています。         ゆふぐれはあなたのなかに沈みゆくとほき国だと気づいてしまふ

一首評「六月」

一首評

六月といえば去年の湯布院の宿の朝の雨の緑の   *朝=あした
        𠮷野 裕之 『𠮷野裕之集』 

 ちょうどいまも6月ということで目に留まった一首。

この歌の大きな特徴は「去年の」から続く名詞と「の」の連続にある。
6回の「の」によって去年泊まった宿での光景にフォーカスしていく。

「湯布院」という柔らかい語の地名や
「やど・の・あした・の・あめ・の・みどり・の」という
2・1・3・1・2・1・3・1のリズミカルな音が柔らかな雨の様子を伝えてくれる。

内容そのものよりも呼び覚まされるイメージと
そのプロセスを楽しく追う歌かもしれない。