片脚のない鳩のいた野草園 肉体という勇気を思う
小島なお 「セロテープ透ける向こう」『展開図』P120
無残な姿を晒しながら生きていく鳩。どこかが欠けたままでも生きていく。
まだ生きていくことができる「肉体」が持つ、どうにもできない外見の迫力を思わせて、すこし怖さがある一首。
「肉体という勇気」はけっこう思い切った断言です。失ったものと残ったもの。両方を晒しながら生きる様は、言葉にすれば「勇気」かもしれません。
鳩のふっくらとしたフォルムや厚み、すこし光を帯びた首の色味など、いくつかのイメージが浮かんできて、生命を包んでいる「肉体」の実在感がなんとなく重さをともなって、納得できるのです。