波と手紙

小田桐夕のブログ。好きな短歌について。

2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

一首評「それから」

サクラモチを秀衝塗の皿におくそれから遠い日のやうに食む 佐藤通雅 「あふむけ」『昔話』P134 片仮名で表されたサクラモチ。 いつもなら春の訪れを感じる楽しいお菓子ですが、この歌が収録されている『昔話』は、東日本大震災後の作品で構成されています。 …

「みかづきもノートvol.3」完成!

私がゆっくりペースで続けているオンライン読書会の内容を、小さな冊子にしております。 「みかづきもノートvol.3」が完成しました。

一首評「鉋」

早春の棟に大工が一人いてしきりに光に鉋かけいる 三井修「白犀」『海図』P70 早春の頃なので、ちょうど今頃かな。急に暖かくなったり、また寒くなったりして、なかなか厄介な気候です。 冬から春へ、季節の変化が感じられる時期の屋外に、大工が一人だけで…

一首評「山茶花」

息とめる遊びもいつか遠くなり山茶花はあかい落下の途中 小島なお 『展開図』「公式」P104 山茶花もそろそろ、おわり。じきに春ですね。 それにしても、山茶花の赤い花びらは道でよく目立ちます。 「息とめる遊び」は私はやった覚えが無いんですが、呼吸とい…