波と手紙

小田桐 夕のブログ。塔短歌会に所属しています。         ゆふぐれはあなたのなかに沈みゆくとほき国だと気づいてしまふ

一首評 「桜草」

あざやかな記憶のしかし桜草死を看取ったらあとは泣かない
                                         土岐 友浩 「Bootleg」 

 

「あざやかな記憶」はおそらく亡くなった方との思い出なのだろうけど
「しかし桜草」という逆接によって
二句の途中でぐっと歌の流れが変わっています。

早春にいちはやく咲く桜草。
ひとつの死にたいして強引に区切りをつけようとする気持ちの節目におかれる
可憐な「桜草」という語に痛切な覚悟を感じます。