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波と手紙

小田桐 夕のブログ。塔短歌会に所属しています。         ゆふぐれはあなたのなかに沈みゆくとほき国だと気づいてしまふ

一首評 「葉書」

 葉書とは小さな紙と思うかなそこに余白を置いてあなたは
      「ゆっくり私」『砂丘の魚』 𠮷野 裕之

 相手から受け取った葉書だろう。

葉書をわざわざ「小さな紙」と言い直すことで
質感や手触りが浮かんでくる効果があるのかもしれない。

簡潔な文章や挨拶が描かれた葉書には、
あえて書かれなかった言葉があるはず。
「あなた」のことを知っていればこそ
書かれなかったことに対して気持ちが向いてしまう。

限られたスペースのなかにも残る余白、
広々ととられた余白よりも
かえって大きく感じると思う。