2016-07-25 一首評 「葉書」 一首評 葉書とは小さな紙と思うかなそこに余白を置いてあなたは 「ゆっくり私」『砂丘の魚』 吉野 裕之 相手から受け取った葉書だろう。 葉書をわざわざ「小さな紙」と言い直すことで質感や手触りが浮かんでくる効果があるのかもしれない。 簡潔な文章や挨拶が描かれた葉書には、あえて書かれなかった言葉があるはず。「あなた」のことを知っていればこそ書かれなかったことに対して気持ちが向いてしまう。 限られたスペースのなかにも残る余白、広々ととられた余白よりもかえって大きく感じると思う。