波と手紙

小田桐夕のブログ。好きな短歌について。

一首評「森」

やはらかな森の吐息に濡れながらほたるは一生ひかりつづける

     杉本なお「ふくろふの森」

 

 

コスモスの結社内同人誌・コクーン15号から。

 

杉本なおさんの世界は、柔らかい言葉で編まれていて、とても居心地がよさそう。

 

今回の連作の中でも、森のなかの動物たちの様子を描いていて、自分も森の中にすむ動物になっているかのようです。

 

連作の中では、すこし状況がわかりにくい歌もあったのですが、全体の雰囲気には親近感を覚えました。

 

ほたるは一生のうち、かなり長い間を土中で過ごし、成虫になってからは数週間程度の命。意外にも卵や幼虫のころから光るらしく、一生ひかるものらしい。

 

「森の吐息」という表現が、森の中の湿り気とか薄暗さなどを思わせつつ、生き物が生きている間、ずっとまとわりつく空気みたいなものも感じます。

 

森という大きな空間と、ほたるという小さな存在の組み合わせ。

 

人間に比べると決して長くないほたるの一生。その間、ずっと周りを包むような森の空気。

 

生きているうち、決して関係を断てないもの同士のように思えてきます。

 

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数日間、ブログを非公開にしていました。デザイン、大きく変えてみました。

 

また時々、気分転換にデザイン変えてみたいです。

 

これからもよろしくお願いします。