白雲をおし上げてゐる白雲のかがやける白海をはなれつ
竹山広 「東京のこゑ」『一脚の椅子』
季節は夏かな…と思っています。海上に浮かんでいる雲にも位置の上下があって、おしあげていた下の雲が、海を離れたばかり。といった景色を想像します。
白雲のボリューム感や厚み、それでも形を変えて動く変化、海との色の対比、一首の中の景色をできるだけ、想像してみる。
「白」を繰り返し使うことで、一首の中でだんだんとその白さが増してくるようです。
「かがやける白」なので、眩さも感じて美しく、気持ちのいい眺めです。
時々、視線を遠くへ向けてくれるような、絵画を見るような歌も気持ちのいいものです。
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この夏に読もうと決めていた書籍のひとつであった『竹山広全歌集』をやっと読み終わりました。分厚かった…。
読む前まで、戦争や原爆の歌が多いのかな…と思っていたのですが、ごく日常的な歌や、家族の歌も多かったです。
読んでいて少し迷うのは、幸いにも(今は)直接の戦争を知らない私に、どれくらい読み解けるのかな、ということ。
歴史の重さを背負ってしまった作品を読むときは、とりわけ、自身の知識や想像力の乏しさが気になるものです。