体育館の窓に雪呼ぶ雲ながれ視界は多く心の領地 P108
小島なお 「心の領地」『展開図』
体育館の窓越しに、空に重そうな雲が見えてきたシーン。雪が降る予感を感じつつ、まだその瞬間は来ない。
上の句から下の句への展開がとても難しい一首でした。
眼で見ているものやコトが、どうしても心の中を占めてしまう。ひとの心は別に自由ではなくて、今いる世界で見るもの、在るものにどうしても支配される。
「領地」というやや硬い語の効果もあって、精神の大部分をなにかに支配されてしまう、その必然を考えてしまいます。どこか窮屈そうな雰囲気がある一首かもしれない。
『展開図』には難しい単語や言葉はあまりないのですが、この一首は本当に難しくて、なかなかうまく読み解けなかった歌です。
同じ作品でも、違うタイミングで見てみたら、また違う印象や解読になるかもしれません。
次にこの作品を読むのはいつかわからないけど、今の私の読みを記録として、ここに残しておきます。