波と手紙

小田桐 夕のブログ。塔短歌会に所属。  ゆふぐれはあなたのなかに沈みゆくとほき国だと気づいてしまふ

一首評 「ひかり」

教室はいやおうもなく春となり壁に押したる画鋲のひかり    

    大辻 隆弘(辻はしんにょう一つ)「蘇枋」『景徳鎮』 

教室にとって春は特別な季節。

新入生が入ってきて、また新しい年度が始まる区切りです。

教師を長年やってきた作者にとっても

新しい1年のスタートの時期になります。

「いやおうもなく」というところに

容赦なしに流れていく時間の力を感じます。

教室の壁には掲示のために、お知らせとかポスターが貼ってあるのでしょう。

紙を止めるために隅にささっている画鋲という

小さなアイテムに反射する春のひかり。

小さいながら金色に光る存在感の強さ。

生徒にとっても教師にとっても

新鮮さや不安のある空間の様子を

「画鋲のひかり」でイメージさせている点に惹かれます。

 

     *

先日、『景徳鎮』について「月と600円」で読書会を行い、

1冊の本についてあれこれ考える機会をいただきました。

いろいろ調べるのが面白くて、いい機会だったと思います。