やわらかく脈打つからだここにあるすべてのものを消して なのはな
ひぐらしひなつ 『きりんのうた』
「塔」の新人賞作品にけっこう苦戦していて、
気まぐれに昔好きだった歌集を持ち出してみる。
結句の「消して なのはな」がとても印象深かったし、
それはいまでも同じように思う。
ただそこにいたるまでの過程あってこその結句だったと
改めて読んでいて思うのです。
みずからの身体に通っている血やその脈の存在、
それでもいつかはこの生命が消える必然や
あえて消したい願望などが入り混じった果てに
一字空けの「なのはな」がくることで
鮮やかな黄色の花の生命がより鮮烈に浮かびます。
イメージの広がりのある歌を詠みたいな、と思いつつ
ずっとやってきた気がしています。