大いなる薔薇と変はりし靴店に素足のままのきみをさがせり
水原 紫苑 「湖心」『客人』
靴店に素足、という点が意外な感じで気になりました。
新しい靴を探すときに、いちど素足(少なくとも靴は脱ぐ)になることを
踏まえて詠まれているのではないかな、と思います。
「大いなる薔薇と変はりし」は幻想的で不思議なイメージですが
薔薇の幾重にも重なった花びらを考えると
一度入った後、選ぶべき靴にあれこれ迷って店から出てこない、
みたいな感じかな、と思いました。
複雑なフォルムをもつ薔薇の花と
「素足のまま」との対比も面白い構造です。
読む人によっていろんなイメージが膨らみそうです。