塔2016年11月号の作品2・三井修選歌欄から。
むらさきの淡き桔梗の花びらにむらさきの濃き筋目あり、雨 清水 良郎 P172
一輪の桔梗のなかの
紫の濃淡に着目している観察がとてもいい。
結句の「、雨」も面白く
桔梗の花びらを雨滴が
つたっていく様子が浮かびます。
若死にの母の髪型なつかしい六条麦茶のボトルのラベル 三宅 桂子 P182
「六条麦茶のボトルのラベル」というと、
髪を結った女性のイラストがある。
このイラストから
「若死にの母の髪型」に思いが及ぶところが
素朴だけど印象的。
「母の髪型」まで詠んだことで
なんとなく面影が伝わる。
Tシャツは首まはりから世馴れして部屋着つぽさを刻々と得ぬ 濱松 哲朗 P183
だんだんと着ふるして、よれていくTシャツ。
「首まはりから」という描写で
くたびれていく感じがよく出ている。
「世馴れ」という表現が面白い。
この言葉はなかなか出てこないなぁ。