塔2016年11月号の作品2・花山多佳子選歌欄から。
梅ゼリーの梅に手つけず子供らは草履引っ掛け虫捕りに行く 矢澤 麻子 P99
夏休みの子供たちの様子を詠んだ歌が
詠草のなかにありました。
「梅に手つけず」という描写で
食べ物の好みだけでなく、なんとなく
性格とか表情が浮かんできそうです。
二歳児は鬼が怖いらし黍団子あげてばかりの桃太郎うたふ 小畑 志津子 P103
こちらもかわいい一首。
黍団子をあげてばかりでは
いつまでたっても鬼退治にならないだろう、
と思いつつ、その様子がかわいい。
小さい子供を詠んだ歌は多いけど、
甘いだけで終わっている歌も多いなか
具体的な描写が的確だと
その場で見ているような感覚が生じます。