2016-11-16 一首評 「蝶」 一首評 靴紐を結ぶすなわち今日のわが足を見つめる蝶を創れり 大井 学 「総譜」『サンクチュアリ』 靴紐を結ぶ、という何気ない行為のなかにささやかな美しさを見出した一首。 「すなわち」という接続詞が面白く、ちょっと硬い印象の語を挟むことで下の句の「蝶」という美しいイメージにたどり着くようになっています。 大都会のなかで生きていて息苦しいような日もあるのでしょう。「わが足を見つめる」で結ばれた靴紐はささやかなお守りのようにも思えます。