錆びついた窓から見える風景だ どうしたらいいどうしたら雨
吉川 宏志 「縦長の絵」『鳥の見しもの』
今回ももうひとつ、雨で終わる歌。
すぐ前に磔刑の絵の歌がおかれているせいか
この歌も切羽詰まった感覚で読んでしまいます。
「錆びついた窓」のむこうの風景が
具体的にどんなものかわからないけど、
実際の景色というよりは将来や未来の予想や予感
(もちろん明るいものではない)だと思います。
イメージとしては廃墟の内側から外を見ているような気がして
不吉な予感がつきまとうのです。
「どうしたらいいどうしたら雨」という
唐突な雨の一語で不安がじわっと伝わります。