2016-05-31 一首評「扉」 一首評 ほのぐらき靴はき帰りゆく君の二つめの扉の鍵をください *扉=と 江戸雪 「色のない海」『江戸雪集』 「二つめの扉」とは面白い表現で、ひとつめが自分のためには存在していないことが分かっているんだろう、と読んだ。 上の句が「くつ・はき・かえり・ゆく・きみ・の」と短い語によって小刻みなリズムを持っているけれど下の句はそれに対してもう少しゆったりした印象にかわっている。 「鍵をください」という願いはすっとさしだされているけれど叶ったところで悲しい願いだと思う。