波と手紙

小田桐夕のブログ。好きな短歌について。

一首評 「飲料」

管理下に生くるかなしみなだめつつ水より淡き飲料をのむ  *淡き=あはき
           江畑 實   『江畑實集』 

 

会社や組織に所属して働くようになると
働いている間、時間も行動も管理されるようになる。
そのうち思考も組織の枠内に固まっていくのだろう
ということも容易に想像できる。

自らをなだめつつ口にするのは「水より淡き飲料」である。
「水より淡き」がポイントだろう。
飲み物までシステムの中で薄められている感じが
なおさらかなしい歌である。