2016-02-25 一首評 「楕円」 一首評 湾というやさしい楕円朝あさにその長径をゆく小舟あり 松村 由利子 『耳ふたひら』 湾はたしかに優しい丸みをおびた景色です。とくに遠くから臨んだときに曲線の美しさがよくわかります。 この歌は湾と海をゆく小舟を詠んでいるだけですがひろびろとした海辺の様子や毎朝のように進んでいく小舟の軌跡を思い浮かべることができます。 「やさしい楕円」というところに心情がにじんでいて海や島への愛着を感じるのです。とてもゆったりした気分になれる一首です。