美しさのことを言えって冬の日の輝く針を差し出している
堂園 昌彦 「やがて秋茄子へと到る」
唐突な要求で、きっと言われたひとは困ってしまうだろう。
「言え」という命令形と「針」という物体の鋭さやその先端の光が
相手に向けられています。
とても鋭い気持ちの突きつけ方で、容赦がないのですが
「冬の日」の弱い光が同時に繊細な印象です。
美しさと冬の日の光、命令形と針の鋭さといった要素が
一首のなかで絡まりあっています。
堂園さんの短歌の世界は淡くてきれいで
私には読み解くのがなかなか難しい世界です。