2015-12-04 一首評 「柘榴」 一首評 月のなき夜の梢はしづかにて柘榴は万の眼をひそませる 中津 昌子「夏は終はつた」 「月のなき夜」なのでめだった光のない夜の暗さと柘榴の赤い色合いとがイメージとして浮かんできます。 柘榴という不思議な果実のもつちょっと不気味なイメージを思い出しました。「万の眼」というのがポイントなのでしょう。柘榴のなかのたくさんの赤いつぶつぶの果肉と眼とのイメージの結合にどきりとします。静寂のなかにひそむ怖さ、かもしれません。