2015-11-05 一首評「銀貨」 一首評 ポケットに銀貨があれば海を買ふつもりで歩く祭りのゆふべ 光森 裕樹 「鈴を産むひばり」 とても美しい歌が並ぶ一連「鈴を産むひばり」のなかに置かれている一首です。 にぎやかなお祭りの夕暮れに、そわそわした気持ちで歩いているのでしょう。「銀貨」という硬質な語がすこし異質な存在です。実際には不可能だけれど、「海を買ふつもり」でふくらんだ気持ちのイメージがわきます。 いつもの日常とはちょっと違う空気のなかをふわふわ歩いている感覚がとても印象的です。