波と手紙

小田桐夕のブログ。好きな短歌について。

一首評 「螢」

見つめ合う時の深さを計れずに螢見に来てわずかに憎む
         梅内美華子「梅内美華子集」 

 

新しく読みはじめた歌集のなかで、気になった歌です。

いまひとつ思いどおりにいかない恋が背景にあって
かみ合わない関係を「わずかに憎む」
若いときの恋愛ならよくあるんじゃないかな、と
ちょっと懐かしくなってしまった  (^_^.)

「螢」という儚い生きものの選択がいいのでしょう。
光はきれいなのに、長く続かないいのち、という
イメージが合っています。