波と手紙

小田桐夕のブログ。好きな短歌について。

2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

一首評「消す」

コンビニの伊右衛門取ればその隙間するする次の伊右衛門が消す 河合育子「うがひ」『春の質量』P44 コンビニの棚にはいろんなお茶がずらっと並んでいます。今回、主体が選んだのは伊右衛門のお茶。 棚の奥まで同じ商品が並んでいるので、手前の一本を取れば…

佐藤通雅『岸辺』 【歌集・歌書探訪】

塔2023年5月号に掲載された「歌集・歌書探訪」の記事を以下にアップしておきます。今回取り上げたのは、佐藤通雅氏の『岸辺』。 この歌集で第34回斎藤茂吉短歌文学賞を受賞なさいました。おめでとうございます。

一首評「たまご」

つぎつぎに光るたまごを産みながら春の真中の炭酸水は 梶原さい子「尾鰭」『ナラティブ』P98 春の穏やかな日に、炭酸水のボトルを眺めてみる。 (中味が見えているので、ボトルでしょう) 春なので、そこまで暑さが激しいイメージは無く、あくまで優しい雰囲…