波と手紙

小田桐夕のブログ。好きな短歌について。

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『軍医の見た戦争 ― 歌人米川稔の生涯』を聞いて

8月12日に野兎舎主催のオンライン講座『軍医の見た戦争 ― 歌人米川稔の生涯』を拝聴しました。 今まで私は3年にわたって、松村正直氏の戦争を考える企画を聞いてきました。 一昨年、昨年は松村正直氏の『戦争の歌』(笠間書院/2018年)をテキストとして用い…

一首評「向日葵」

研究者になるまいなどと思ひゐしかのあつき日々黒き向日葵 真中朋久『雨裂』「丹波太郎」P15 (砂子屋書房 現代短歌文庫) 向日葵を詠んだ歌の中で、とても印象的な一首。既存のイメージを逆転させたような、画像の白黒を反転させたような強さがあるのです。…

一首評「影」

影のなかは影しか行けぬ 旧道のけやきに夏がめぐつてきたり 梶原さい子「白きシャツ」『ナラティブ』P129 暑い夏には、影もひときわ濃い。「旧道のけやき」という、おそらく馴染みのある風景の地面には、けやき並木の濃い影が連なっているのでしょう。 主体…

『COCOON』24号

『COCOON24号』の紹介をしておきましょう。

一首評「瓶」

その喉に青いビー玉ひと粒を隠して瓶はきっと少年 toron*「雨過天晴」『イマジナシオン』P47 夏っぽい歌を。ちょっと懐かしいラムネの瓶。ラムネは瓶の内側からビー玉で栓をしていることが特徴。 途中ですぼまったフォルムをしていて、コロンとビー玉が入っ…