波と手紙

小田桐夕のブログ。好きな短歌について。

2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

一首評「踏切」

拒みしか拒まれたるか夏の夜の踏切が遠く鳴りゐたりけり 真中朋久「リコリスの鉢」『エフライムの岸』P96

一首評「無知」

桜吹雪 つよい怒りを脱ぎ捨ててどの無知よりもつややかでいる 工藤玲音「ほそながい」『水中で口笛』 工藤玲音さんの第一歌集から。言葉のもつ弾力を感じる歌が印象に残りました。 この歌なら、下句の「どの無知よりもつややかでいる」。 「無知」は本来、悪…