波と手紙

小田桐夕のブログ。好きな短歌について。

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

一首評「白」

白雲をおし上げてゐる白雲のかがやける白海をはなれつ 竹山広 「東京のこゑ」『一脚の椅子』 季節は夏かな…と思っています。海上に浮かんでいる雲にも位置の上下があって、おしあげていた下の雲が、海を離れたばかり。といった景色を想像します。 白雲のボリ…

一首評「風」

彼岸花あかく此岸に咲きゆくを風とは日々のほそき橋梁 内山晶太 「反芻」 『窓、その他』 ちょうどお彼岸の季節ですね。彼岸花の強い赤さは、私はけっこう好き。 この歌も彼岸のころの景ですが、彼岸は時期であると同時に、場所をも指しているのではないか、…