2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧
ほんとうにさびしいときはさびしいと言わないものだ素数のように 福西 直美 75 ひらがなをたっぷり使って詠まれた歌ですがとてもしんとした感覚です。本当のさびしさの中にいるときの心理と「素数」を重ねるところに惹かれます。「さびしい」「さびしい」「…
ゆび差すという暴力に耐えるごと満月、春の空にかがやく 白水 麻衣 24 月という唯一の美しさは、つねにだれかから見られるもの。特に満月となると余計に目立つ存在。「ゆび指す」という行為を「暴力」としている点がとても強くて、美しい存在がもつ魅力と同…
2週間くらいほったらかしにしていたな・・・・。本は読んでいたのに。「塔」も今年の半分が届きました。 庭土にソラ豆の芽の並びをりよく笑ふ子の乳歯のごとく 栗木 京子 2 とても素朴な歌でいいな、と思いました。「ソラ豆」というカタカナ混じりの言い方が…
卓上の本を夜更けに読みはじめ妻の挾みし栞を越えつ 吉川 宏志 『夜光』 吉川宏志氏の名前を記憶した歌といえばたしかこの一首だったと思います。何年も前、まだひとりで短歌を詠んでいるときに大型書店で立ち読みした短歌関係の雑誌の中にありました。特集…