波と手紙

小田桐夕のブログ。好きな短歌について。

2015-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「葉ね文庫」さんに行ってきました。

先日、大阪・中崎町にある葉ね文庫さんにおじゃましてきました。 短歌、俳句、川柳の本などあつかっている素敵な本屋さんです。 中崎町駅からは2番出口出てすぐです。 サクラビルというふるいビルの1Fにあります。 はい、このビルの入り口をはいってそのま…

江戸雪 「江戸雪集」

今回は江戸雪さんの初期の作品をおさめた「江戸雪集」をとりあげます。 いつのまに信じられなくなったのかフロントガラスにとけるだけ 雪スカーフに風からませてどこへでも行けると思う今ならば でもひきだしの死角のようにいるひとを思い出せなくなるまで、…

一首評 「雲雀」

そしていま晴れ晴れとした一発の誤射としてぼくは飛びたつ雲雀 ひぐらしひなつ 「ひぐらしひなつ短歌bot」 しばらく前からツイッターのTLに流れてくる短歌に「ひぐらしひなつ短歌bot」があります。歌集「きりんのうた。」以降の歌をつぶやいてくれる…

一首評 「受話器」

雨はやみたとえばひとの声のするくろい受話器のような夕闇 江戸 雪 「江戸雪集」 ぱらぱらとページをめくっていて目が留まったのはこの一首。携帯電話やスマホが当たり前になったので、「受話器」っていう言葉はいまはかなり印象が薄れたかもしれません。オ…

「古典和歌入門」

久しぶりに岩波ジュニア新書を読んでみました。 「古典和歌入門」渡部泰明 未知の分野や難しそうな分野への入門書としては岩波ジュニア新書、読みやすくて大人にもおすすめです。 古典和歌は古文の時間に学んだはずですが、あんまり印象に残っていません。(…

一首評 「螢」

見つめ合う時の深さを計れずに螢見に来てわずかに憎む 梅内美華子「梅内美華子集」 新しく読みはじめた歌集のなかで、気になった歌です。 いまひとつ思いどおりにいかない恋が背景にあってかみ合わない関係を「わずかに憎む」若いときの恋愛ならよくあるんじ…

一首評 「海」

やはりあなたもここへ戻ってきましたかエレベーターは深い海です 松村正直 「午前3時を過ぎて」 いまひとつわからないけど惹かれる歌というのもときどきあります。 初句の「やはり」が強い言葉です。「あなた」もきっと同じ場所へもどってくるのだろう、とわ…

一首評 「種子」

天界にひとつ穀物の種子置きて春の地上はどこまでも風 中山明 「猫、1・2・3・4」 中山明さんの短歌はずっと前から好きで憧れている世界のひとつです。「天界」という神々しいイメージの世界に置かれる小さな種のひとつぶ、見下ろせば地上の大地に吹いて…