波と手紙

小田桐夕のブログ。好きな短歌について。

塔2016年11月号から 7

塔2016年11月号の作品2・永田淳選歌欄から。

塔という結社にいます、タワーの。と言いつつタワーを形づくる手     逢坂 みずき   P145

なんだかおかしかった一首。
所属している短歌結社のことを説明するのに
どう説明しているのか、生き生きと描写しているのがいい。
「タワーを形づくる手」まで描写したところが面白い。
句読点の配置や、会話をいかした文体も、
その場の会話の雰囲気を伝えてくれます。

ンゴロンゴロんから始まる言葉にはスコールが降り始める予感す       池田 行謙    P155

「ンゴロンゴロ」とはすごい地名だな、とかつて思った記憶があります。
たしかアフリカの地名で世界遺産だったな、と思ってしらべたら
タンザニアの自然保護区でした。
奇妙な感じを持つ言葉から芽ばえる「スコールが降り始める予感」には、
新しい言葉を聞いたときのイメージの広がりの面白さがあります。