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波と手紙

小田桐 夕のブログ。塔短歌会に所属しています。         ゆふぐれはあなたのなかに沈みゆくとほき国だと気づいてしまふ

一首評 「蝶」

 靴紐を結ぶすなわち今日のわが足を見つめる蝶を創れり
      大井 学 「総譜」『サンクチュアリ

靴紐を結ぶ、という何気ない行為のなかに
ささやかな美しさを見出した一首。

「すなわち」という接続詞が面白く、
ちょっと硬い印象の語を挟むことで
下の句の「蝶」という美しいイメージに
たどり着くようになっています。

大都会のなかで生きていて
息苦しいような日もあるのでしょう。
「わが足を見つめる」で結ばれた靴紐は
ささやかなお守りのようにも思えます。