波と手紙

小田桐夕のブログ。好きな短歌について。

一首評 「麺麭」

描かれし教会の空に白雲は割きたる麺麭のごとくかがやく
       山下 泉 「塔2016年10月号」 

 

一枚の絵を眺めているときなんだろう、と思います。
ぽっかり浮かんでいる白い雲が
麺麭の断面のよう、という把握は素朴ですが
「かがやく」という動詞でいきいきとした表現になっています。

この歌での「麺麭」はフランスパンのような
パサッとした感じに受け取りました。

パンを麺麭と漢字で書くことで
その乾いた質感や食感をより伝える力があります。