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波と手紙

小田桐 夕のブログ。塔短歌会に所属しています。         ゆふぐれはあなたのなかに沈みゆくとほき国だと気づいてしまふ

一首評 「茄子」

一首評

人老いて茄子はしづけき八月の紺をささげてゐたるふるさと
          高野 公彦 「住」『淡青』 

 

茄子はつややかな光をおびて
茄子紺といわれる深みのある色となって実る。

「紺をささげてゐたる」という表現が
茄子の色やフォルムを鮮やかに思い浮かべさせてくれる。

だんだん年老いていく人が増える田舎の様子と
鮮やかに実る茄子の成長のなかに
対比があるのだと思う。

高野氏にとってのふるさとは愛媛県のこと。
でも読んでいるときに、読者はそれぞれ
自分の記憶の中のふるさとを思い浮かべるだろう。

わたしにとっては昔、祖母が作っていた茄子を
どうしても思い出す。
家庭菜園なので量は限られていたけど
夏によく実っていた。