野心とは野のこころなれ夕ぞらのうつくしきまでを草のうへに寝て
真中 朋久 「塔 2016年7月号」
野心って本来はもっとギラギラしたものだけれど
この一首では「野のこころ」と分解して
別の視点を与えています。ユーモアがあって面白い発想です。
「野のこころなれ」という強い言い方と切れで
引き締まっています。
その一方でひらがなが多いので
ゆったりとした雰囲気になっています。
緩急のつけ方やバランスがいいですね。
大人になるとなかなかこういう時間はないなぁと思いながら
かつてあったはずの時間や光景を懐かしむような気持ちにもなります。
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真中さんが選者を務める歌会に参加するようになって
1年くらいが経ちました。
1年たったからといって別に歌がうまくなるわけでもないし
歌会って何の役に立っているのか
いまひとつ自分のなかではっきりしない気がします。
まぁ気長にいけばいいかな、と思いつつ
今日もまた歌書に手を伸ばすのでした。