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波と手紙

小田桐 夕のブログ。塔短歌会に所属しています。         ゆふぐれはあなたのなかに沈みゆくとほき国だと気づいてしまふ

一首評「波」

一首評

夕光に離れて白き波があり死ののちも画家はその波を見る    *夕光=ゆうかげ
       吉川 宏志「塔 2016年6月号」 

 

「モネの絵に」というタイトルがついた一連のなかに並んでいる歌です。
絵画などの芸術をテーマに詠むと
あまりうまくいかないケースもあるのですが、
さすがに吉川さんは上手だな、と思いながら読みました。

取り上げた歌は、下の句の「死ののちも」という表現が
非常に難解ですが魅力的だと思います。

画家が死んだ後にも絵画が残る、というのではなく
「その波を見る」という表現で
画家が見ていた視点や光景が残る、
画家のまなざしが息づいているといった
感じが出ていて静かな迫力があります。

一首を読んでからふたたび上の句へもどって
「白き波」を意識するとき
儚くてもろい形が描き止められているという
永遠性を思うのです。