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波と手紙

小田桐 夕のブログ。塔短歌会に所属しています。         ゆふぐれはあなたのなかに沈みゆくとほき国だと気づいてしまふ

一首評「扉」

ほのぐらき靴はき帰りゆく君の二つめの扉の鍵をください   *扉=と
        江戸雪 「色のない海」『江戸雪集』 

 

「二つめの扉」とは面白い表現で、
ひとつめが自分のためには存在していないことが
分かっているんだろう、と読んだ。

上の句が「くつ・はき・かえり・ゆく・きみ・の」と
短い語によって小刻みなリズムを持っているけれど
下の句はそれに対してもう少しゆったりした印象にかわっている。

「鍵をください」という願いはすっとさしだされているけれど
叶ったところで悲しい願いだと思う。